水中版ドローン OpenROV で海中探検
隠岐周辺の海は透明度が高くきれいなので、これはぜひ海中探検をしてみたい!と思うわけですが、スキューバダイビングなどはそこそこ高額になるし、行ける場所にも限りがあります。というわけで水中版ドローンとも言えるROV(Remotely operated underwater vehicle) を手に入れてみました。
最近はニュースなどで騒がれだして、やれ規制だなんだという話でなかなか飛ばしづらい状況になってきているドローンですが、水中ならドローンが落下する危険性もないし、海中に住んでいる人もほとんど居ないと思うのでプライバシーの観点からも特に問題はないでしょう(笑)。
ROV というと一昔前までは非常に高価なシロモノであり、数百万〜数千万円の世界なので素人が手を出せるものではありませんでした。もちろん趣味で自作されている方はそこそこいますが、長らくホビー用途向けの製品化などはされてきませんでした(推測)。今回手に入れたのは OpenROVというオープンソース(材料や作り方、ソフトウェア等が公開されている)の ROV です。
http://www.openrov.com/www.openrov.com
昔GIGAZINEでも記事になっていたので見かけたことがある人もいるかもしれません。
作り方が公開されているので材料を揃えれば完全に自作も可能ですが、数年前に Kickstarter でのファンディングを終えて組み立てキットが製品化されています。2015年7月現在の価格は $899 と、これまでの ROV から考えると破格のお値段で製品化されています。
OpenROVのスペック
OpenROV(Ver2.7)のスペックについて簡単に触れておきます。
- ワイド画角のWebカムでリアルタイム映像が見られる(チルトシフト可)
- LEDライト
- ブラウザ経由で操作可能なのでOSプラットフォームに非依存
- コントロールボードは Beaglebone Black と Arduino MEGA で構成されており、Input/Outputを使用してユーザが機能を拡張しやすい
- リチウム充電池(別売り)で動作
- 100メートルのテザーケーブル
- 追加装備用のペイロードあり
- ソフトウェア、ハードウェア仕様はオープンソースで公開されており、コミュニティで質問や情報共有などができる
- 水深75m程度まで潜行できる(組み立てのクオリティによる)
- 深度センサはオプション
機能も拡張性もホビー用途としては申し分ない感じです。 ホストPCのブラウザ上ではリアルタイムの映像が見られるので、いわゆるFPV(First-person view)という状態で操作できるわけですが、基本的に静止画撮影のみで動画は撮れない(画面キャプチャソフトを使えば可能)のと、アクリルチューブ越しでそんなに画質は良くないので、映像を撮ろうと思ったらアクションカムを搭載したほうが良いです。
本体前面のペイロードはGoProが2つ乗るくらいのスペースなので、3D映像も取れそうです。 (GoProは高くて手が出ないので中国製アクションカムSJ4000を買いましたが...)
組み立て
組み立ては公式サイトの組み立て手順に従います。 openrov.dozuki.com
組み立てキットですが、一部材料や工具などは自分で用意する必要があります。バキュームポンプやポッティング用の接着剤などレアな工具もあり、全部揃えると1万以上かかりました...。
組み立て作業は結構手順が多い上に、アクリル板の接着や細かいハンダ付けなど、いろいろと慣れていない作業もあり、かなり大変でした。2人で15時間くらいかかったと思います。
特にコントロールボードが入っているメインチューブのフタの接着や、ケーブルを出すための穴のポッティング(エポキシ系接着剤などを流し込んでケーブルと穴のスキマを埋める)など、防水でネックになる部分は慎重にやらないと簡単に浸水します(しました笑)。実は手順で見逃してやってなかったのですが、水に投入する前にハンドバキュームポンプで Vacuum Test の実施が推奨されています。
初ダイブ
近くの堤防で水深4mくらいの海に投入してみました。 海中を自在に動き回れるのはなかなかにステキです。
が、10分ほど動かしたあと、浸水してしまいました笑。
雑感としては、
- ブラウザ経由の操作での応答性が気になっていたが、実際に動かして見た感じでは遅延は気にならない(そもそも水中では水の抵抗でそこまで機敏な動きもできない)
- そこそこ小回りは効くが波の影響で回転してしまい、まっすぐ進むのが難しい
- ノートPCの画面が外だと見づらいので画面のフードがあると良さそう
- ノートPCの配置のために絶対に濡れない場所が必要(あるいは防水のPCとかタブレットを買うか...)
- 潜航中はどのあたりを移動しているのかが分かりづらい
- 浮力調整をしていなかったのでぷかぷか浮いてしまった(ペイロードにおもりを積んで調節が必要)
- PC との接続に USB ケーブルと LAN ケーブルが必要なため携帯性が悪い(そのうち無線化したい)
- ダイブ後のメンテナンスが面倒(とくに海水に入れた場合、淡水で洗浄が必要)
という感じです。
浮力調整や Vacuum Test をちゃんとやってから次回のダイブに望みます。