3Dプリンタで模型製作 + エアブラシ塗装ことはじめ2
あらまし
タイトルが変わってしまいましたが、前回からの続きものです。 前回の記事では模型の塗装用にエアブラシ環境を整えました。 ag.hatenablog.com
今回はエアブラシで塗ってみたお話です。何を塗るのかは前回の記事に書いてませんでしたが、西ノ島の名産品である活イカの模型を塗りました。モデリングから始めて、3Dプリンタで印刷した上での、仕上げの塗りなのでそのあたりの流れも記録しておきます。
塗装までの工程
モデリング
有機物なのでポリゴンベースのモデリングソフトより、スカルプトモデラー(デジタル彫刻)のほうがやりやすそう、ということで Scruptris というソフトを使ってみることにしました。
簡便な操作性で、初心者でもそれなりの形に仕上がる良ソフトですが、ありがたいことに無償で提供されています(有償版 ZBrush の入門版という位置づけ)。
さて、できたのがこちらになります(3分クッキング風)。
これを OBJ 形式でエクスポートします。
3Dプリント
モデリングしたデータを3Dプリンタでプリントしていきます。 使っている3Dプリンタはこちらです。
今回は塗装前提なので eSUN の白いPLAフィラメントを使用しました。
このフィラメントはプリント温度は205〜210℃が最適なようです。200℃だと失敗してボロボロになってしまいました。 また全長30cmを超える大物のため、一回ではプリントできないので FlashPrint の分割機能で2分割しました。
さて、プリントできました(プリント直後の写真は撮り忘れました)。サポート材をニッパーやカッターで取り除き、半日ほどかけてひたすら表面をヤスって積層痕を消します。 ちゃんと研磨しないと積層痕の溝に塗料が流れたりしてうまく塗れません。 今回のような曲面の多い形状の場合、粗めのスポンジタイプのヤスリから始めると曲面にフィットして削りやすいです。
最終的には紙やすりで #60 〜 #300 くらいまで順に研磨しました。 研磨後、分割された本体を結合します。今回は水に沈む必要があったので、内部に穴を開けて釣り用のオモリを入れて浮力を調節しました。
結合したのがこちらになります。
結合部の接着はプロ用耐衝撃というなんか強そうな接着剤を使いました。
パテ補修
結合部はどうしても段差ができてしまうので、パテで隙間を埋めます。 コスパが良さそうなこちらのパテを使いました。
橙色っぽい部分がパテによる補修部分です。結合部のほかに、研磨で穴が空いてしまった部分なども補修しました。
パテを盛ったあと、カッターやデザインナイフなどで余分なパテを削ぎ落とし、紙やすりで段差が滑らかになるように仕上げます。
塗装
さて、やっと塗装に入りますが、あまり写真がありません(^o^)
下地塗装
まず、サーフェイサーで下地を塗っていきます。 1段目は下地隠蔽力の高いグレータイプ。
2段目はクリアカラーの下地とするため、ホワイトタイプのサーフェイサーで塗ります。
下地が隠蔽されるまでそれぞれ2〜3回ほど塗り重ねます。さらに表と裏に分けて塗るので、塗装→半日乾燥を計10回ほど繰り返して一週間ほどかかりました。
エアブラシ塗装
準備については前回の記事の通りです。塗料はラッカー系塗料を使いました。 塗料の希釈具合などは以下のサイトがわかりやすかったです。
http://www.k4.dion.ne.jp/~gustav/air04.html
さて、一応失敗した3Dプリント物などで2〜3日練習してみた後、本番の塗装です。 と、思ったらエアブラシが詰まって塗料がでません\(^o^)/
ノズルのクリーニングなどいろいろ試してみましたが改善せず、2日ほど悩んで最終的にエアブラシの後ろのネジ(名前がわかりません)をゆるめたところ、ちゃんと出るようになりました。
右の写真がもらった資料で目標の色となりますが、ベースの色はクリアイエローを薄く塗ることで再現できました。 その上の茶色っぽい部分はオレンジと黒の調色です。
調色については、子ども向けですがこちらのサイトの「混ぜ合わせチャート」という表が非常に便利です。
斯くして一旦塗り終えたわけですが、どうも本物はもらった資料ほど黄色くないそうで...。 実物を見せてもらってリトライです。
確かにちょっと黄土色っぽい感じですね。 というわけで、一旦色を剥がして塗り直したものがこちらです。
ベースの色はクリアイエローに黒を少し混ぜました。 目玉は筆塗りです。目の横のアイシャドウみたいな部分はクリアブルーを重ねています。
仕上げのウレタンニス
色はOKが出たので、最後にテカリと防水性(水に沈めて使うので)のためにウレタンニスで仕上げます。 今回は水性ウレタンニスというものを使いました。木工用ですが模型にも普通に使えます。
これを3層ほど塗り重ねますが、1層塗り終えるごとに#300くらいのヤスリで表面を研磨してやる必要があります(次の層の吸着を良くするため)。透明なので均一の厚さに塗るのはなかなか難しく、薄いところは研磨で下地の色ごと剥がれてしまったりしてなかなか難しかったです。
これも表裏×3層で3日くらいかかって、やっと完成です。
塗り終えた写真を撮らずに納品してしまったので、残念ながら完成品の写真はありません(^^;)